台湾・台南のおすすめを紹介する

台湾・台南のおすすめを紹介する

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Published
May 20, 2023
「鍋に弾丸を受けながら」の台湾編を読んで台湾欲がピークに達し、一通りの仕事を終わらせたGW初日に航空券を取って、その3日後に台湾に飛び立った。
世間的な祝日スケジュールに合わせて航空券をとるとかなり高くなってしまうのもあり、微妙にずらした日程にして7泊8日の旅。台湾に行くのは初めて。
図らずも鍋弾の聖地巡礼をしてしまったり、ご飯も人もとても良かったり、とても好きな場所になったので、ここでは台南のおすすめ飲食店について書く。
 

台湾(台北)の食文化

日本と同じく、食を重んじる文化だ。街には飲食店や屋台が溢れている。
特に朝食を重んじていており、朝食を外で食べる文化がある。朝5時からお店がやっていて、人気店は7時くらいには行列ができているのはすごい。
台湾の朝のあいさつは「呷飽没(ジャバーボエ)」=「ご飯食べた?」という意味のもの。”How are you ?” 的な挨拶なので、本当にご飯を食べたかどうかを答える必要はない。挨拶からも、朝にしっかり食べることからも、食を大事にしているのが伝わってくる。
 
台湾料理は基本的には中華料理に似ているが、辛い感じではなく、心持ち優しい味が多い。よくある味付けとしては、肉などの具材を醤油、砂糖、酒、そして八角で甘塩っぱく味つけたものが多い。これ系統で代表的なのは魯肉飯や臭豆腐。台湾料理は甘ったるさと八角の風味が苦手だと合わないと思う。屋台とかで食べる台湾料理は「米か麺と肉を、八角の味付け・油多めで調理したもの」というイメージ。
他の名物といえば、豆花(豆腐のデザート)とか豆醤(豆乳)など豆腐系の料理、麺線とか麺料理、小籠包とか普通に中華料理っぽいもの、みたいなイメージ。あと朝食にはサンドイッチが流行っていたり、コーヒーやお茶やバーのレベルが高い気がした。
 
FYI
 
…こんなことを書きつつも、現地人の人と話してたら「朝ごはん?まあ確かに大事にする文化だけど、寝てたいから俺は食わないわw」「台湾料理は油が多くて私は嫌い。和食が好き」みたいな話も聞いて、まあ当然なんだけど色んな人がいるよね、と思ったりした。

台南の食文化

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鍋弾にもあるように、首都である台北が無国籍スパイシーな味付けなのに対して、京都的な古都である台南はスープや素材本来の味を重視した食文化だ。
個人的な感想として、八角が入っていない台南料理の方が日本人の口に合うと思う。台北の料理は少し口に合わないものもあったが、台南料理は全て心の底から美味しく食べやすかった。また、街を歩いていても八角の臭いがすることが少なく、過ごしやすい。
 
また、台北は東京的な空気があり、つまりムワッとした暑さと車の排ガス、ゴミの臭いなどがある。それに対して、台南は海が近いからか比較的カラッとした空気で綺麗な海辺の街という印象だ。台湾自体がそもそも沖縄よりも南にあり、全体的に蒸し暑いのはそうなのだが、個人的には台南なら住めるけど台北はちょっと厳しそうだなあなんて思ったりした。
とはいえこれらは勿論、台北で夜市とかそういう場所に多く訪れたからで、台北中心部の綺麗な道とかを歩いている限りは全く問題はない。

台南のおすすめ飯

牛肉湯@石精臼牛肉湯

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牛肉のスープのこと。古くから酪農で栄え、屠殺場が近くにあるという台南では、新鮮な肉を使った料理が有名。その一つがこの牛肉湯。牛骨などから取った熱いスープを生の肉にかけて、ややレアな肉とスープをいただく料理。
これが美味しかった…。いわゆる日本の「高級肉」すなわちサシが入った油の多い肉ではなく、言ってしまえば平凡な赤身肉を食べるだけなのだが、新鮮な肉がこれほどまでに柔らかく、甘く、臭みのない味をするのかと思わされた。台南に住んでたら多分毎日食べる。小腕で110元(495円)。
 
ちなみにホテルの近くに羊肉湯もあったのでチャレンジした。個人的には羊肉の方が新鮮な肉のメリットを感じられて良い。肉がとにかく甘くて良い。しかしやや高めで150元(675円)。
 
台南料理は日本人の口に合うという話をしたが、特に牛肉湯を食しているとこれを感じる。 「和食は引き算の料理」と言われることがあるが、これは和食が「臭みなどの余分なものを取り除いて素材本来の味を引き出す料理」だからだ。逆に、足し算の料理と呼ばれるフレンチは、臭みにスパイスを「足して」気にならなくしたり、なんなら臭みを有効活用していくような調理方法だ。この2つの軸で言うと、台南のスープは「引き算の料理」で、臭みのない新鮮な肉だからこそできる味で、とても美味しかった。
 
ちなみに少し調べてみると、元々牛肉食はタブーだったらしく「なぜ牛肉湯が広まったのか?」という話があるらしい。面白い。
 

台南式海鮮粥@佰九海產粥

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今回の旅の目的。鍋弾でこれを見て、これを食べるために台湾にきた。
見た目の通り、具沢山の海鮮スープ(海老、牡蠣、アサリ、烏賊、白身魚)をご飯にかけて、ネギと揚げニンニクをいれた料理。
本当に具沢山で、海老や牡蠣がこれでもかと入っている。まずこれが170元(765円相当)というのがおかしい。そして味はというと、磯臭さのない絶妙なバランスの美味しい海鮮スープを、ニンニクとネギでパンチを効かせながらご飯とかきこむといった代物で、美味しくないわけがない。後半は醤油やラー油などの調味料を足して味変できて、またこれが美味しい。
作中の表現から借りると「お茶漬け」「世界最強級に美味しい汁かけ飯」とあってそれで正しいんだけど、個人的にお茶漬けのイメージに引っ張られすぎて、昆布出汁っぽいものを想像しちゃった。そっちじゃなくて、もう少し普通に海鮮スープって感じの汁かけご飯。
若干シンプルすぎる味付けだと感じてしまったのも正直なところだが、近くにあったら週1で通うだろうなっていう味。また行きたい。
 
ちなみに海鮮系だと、milky fishという地元の魚も有名。ホテルの朝食で粥をいただいたが、シンプルで素朴でありつつ洗練された味で良かった。
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市場のご飯

台南滞在中、日中はあまり時間がとれなくて観光できなかったのだが、ホテルから近いエリアの市場に行って有名なご飯屋を巡ってきた。

阿松割包

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台湾バーガーと言われる割包のお店。ざっくり言えば豚まんバーガーみたいな。具は3種類あるけど、豚のタンが有名。
豚タン、ザーサイ?、ゴマだれ、パン生地の甘さが絶妙で、とても美味しかった。量も少なくサクッと食べれる。週2で食べたい。こういう小吃(シャオチー、軽食の意味)が街にたくさんあるのが台湾の良いところ。
 

石精臼蚵仔煎

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阿松割包からハシゴ。牡蠣のオムレツも台湾名物で、そしてここは台湾一美味しい牡蠣オムレツらしい。
小ぶりな牡蠣の濃厚さ、玉子とタレのちょうどいい甘さが絶妙で、非常に完成度高かった。台湾一は伊達じゃない。
無口無表情だけど穏やかで優しそうなのが伝わってくるおじさんがやってるのも良いポイント。
 
 

Super Ray Coffee

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通りの始まりにあるイケてるコーヒー屋。グァバコーヒーという、グァバジュースとアイスコーヒーを混ぜたやつがとても美味。
日本でもコーヒートニックを個人的に好んで飲んでいたが、よりすっきりさせた感じで、南国らしい台南の気候にハマる。住んでたら毎日通いそう。
 
 

台南のバー

台南は「台湾の京都」と紹介されることも多い古都だが、京都もそうであるようにお洒落でセンスフルな店が多い。表参道とか銀座のような「金がかかったお洒落さ」ではなくて「個人経営でオーナーのセンスが良い」系のお洒落さ。知らんけど。
そしてその中でも、台南のバーはセンスフルかつカクテルのクオリティも高かった。ということで行ってきたバーを紹介。

篭裏 Bar Lonely

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まず入口がお洒落。日本人が中華系のお洒落建築に期待するような古民家(?? 建築に詳しくなりたい)。
カクテルのレベルも非常に高い。日本でカクテルを飲むことは少なめだが、日本のかなり良いとこのバーとレベルは遜色ないと思う。まあ値段も普通にそれなり(一杯350元=1575円)なので値段なりとも言えるが。にしても少し安いかもと感じるくらいのクオリティだった。
飲んだのはこちら。スコッチウィスキー、凍領のウーロン茶、ジュニパー、パッションフルーツ、ビールなどを合わせたカクテル。めちゃくちゃに飲みやすく洗練されたフルーツ系ビールという感想。美味。
 
接客もよく、英語が苦手そうな若めの女の子スタッフも周りに聞いたりGoogle翻訳使ったりして頑張って自分に説明してくれた。良い人。
 

咽·台南

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こちらも古民家リノベ系のバー。店員が人懐っこく、またカクテルのクオリティがこちらも結構高い。
隣に座った台北人と話をしていて「明日の朝食におすすめの店を教えて」と言ったら、スタッフも参加して俺に勧めるべきNo1店を争ってくれて楽しかった。紹介された店や場所の半数は既に行った店だったので「もう行きました」と答えると「あなたはもう台湾人だ」と言われましたとさ。
 
 
この店関係ないが、やはりグルメ情報を仕入れるのは現地の食通に限る。そして、そういう現地人と仲良くなる場所として夜の飲み屋はよく、特に食が好きな人が集まる場所としてワインバーとかだと尚更良い。
ここで紹介した多くのお店も、台湾二日目に行ったワインバーのCan Natureで知り合ったお姉様が親切に教えてくれた店ばかり。旅をしたら、そういう感度高そうな人が集うバーを見つけると良い。
 

おわりに

最近は前にもまして食に興味があり、特にその場所の風土や歴史と食文化の関係について興味がある。その土地で親しまれている料理というものは、その土地ならではの何かが密接に関係しており、その関係性を解き明かしていくのは楽しい。また「食べる」ことを通じてその場所のことを理解できる気がする。
今回の台湾旅でいえば、台北のスパイシーな屋台料理と台南のシンプルなスープを食べて比べていると、台北は首都である故に中国や日本・その他の国の影響を受け、それらの食文化を取り込んでいって、台南はおそらく土着の食文化が残ったんだろうななんて想像される。
そして、じゃあシンプルで澄んだスープを飲む文化が発達したのは何故なのか?日本食と近しい印象を受けたが、島国だとか山川海があるとかいった地理的条件が似ていることが影響しているのか?それとも全く関係ない理由なのか?とか、そういうことを考えるのが楽しい。
 
とりあえず台湾近いし良いところなので、気軽に行ってみてください。