海老亭別館@富山

海老亭別館@富山

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グルメ
Published
April 10, 2024
 
少し早めに富山についたので、12:00の開始まで春の富山市内を歩く。桜が五分咲き〜八分咲きといったところ。城址の周りの桜並木に人が集まっていた。天気も良く、むしろ良すぎるくらい。春を感じられて良い。
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城からそのまま桜並木を歩いて、海老亭別館に到着。秋に続いて二度目の訪問。
店に入ると女将さんや大将に「ご無沙汰してます」と言ってもらえて嬉しい。
目の前の窓から見える桜を期待して行ったが、目の前の桜は五分咲きくらいで多少残念。目の前の家がブルーシートで覆われているし、少し風情が損なわれてるかな。とはいえ空間は相変わらず素敵。
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桜の花弁の入ったお茶をまずいただく。味はほぼないが、桜の香りが良い。桜を眺めながら、静かで落ち着いた空間の中でゆっくりとした時間を過ごす。
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「飲み物はどうしますか」と聞かれて、前回と同じくハーフペアリング1万円をオーダー。
一杯目はシャンパン。最近は高級フレンチでヴィンテージのシャンパンを飲んでばかりで、「ヴィンテージの芳しさ艶かしさ最高!」というテンションだったが、こちらのシャンパンはそういう系統ではない。すっきりとはしてるがバランスの良い果実香が良い感じ。春の陽気の中、落ち着いた和の空間で飲むなら、これくらいがちょうどいいかもな。美味しい。
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一品目はナマコ。ナマコは今までの人生でほぼ食べたことがなかったが、こんなにクリアでフレッシュな味わいなのかと感動。この後の料理ほぼ全てについてもフレッシュさを強く感じるような料理で、食材本来の味が150%でている料理だなと感じた。
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二杯目は林という日本酒。知らなかったけど結構有名なのかな?隣の人が喜んでいた。フレッシュで美味い。
二品目は白エビの飯蒸し。餅米自体の美味さ、とろろ昆布の旨みと塩味、白エビの魚介の味、そしてそら豆の香ばしさ。もうね、完璧です。完璧でありつつ、派手さはなく、でも充実しているというか。和食って美味しいなあ。
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白エビは1つ1つはとても小さく、手作業で身を剥いてこれだけの量を作ってくれているらしい。今日のカウンター席5人分のために1時間かかるそう。大変。
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お次はサクラマスのお造り。お酒は日本酒ではなくロゼ。
フランスのワインだが「HARU ICHI VIN(春一番)」という名前のロゼワイン。エチケットには桜が描かれていて、明確に日本の春をモチーフにしている。ソムリエの方もジャケ買いしたそう。サクラマスに桜のロゼワインという合わせがお洒落である。番がVIN(ワイン)なのも洒落ている。
サクラマスはいい感じに油乗ってるが、すっきりしてて、ちょうど良い臭みというか独特な味もあって、その臭みとロゼが合う。
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三杯目も日本酒。氷見の酒蔵の曙初嵐というお酒。ふくよかさはありつつ、フルーティーさとキレがある。お椀に合わせて燗でいただく。
お腕はたけのこと甘鯛、ふき。たけのこは柔らかく、臭みがなく、ほのかな甘みが味わえる。甘鯛は言わずもがなに美味しく、そして日本酒とも合う。日本っていいねえ。
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お次のワインはセイズファームのメルローA3、2018。A3は畑の価格のこと。まだ若々しい味わいも残しつつ、青苦いような味わい。赤みのお造りと山葵醬油に合う。
料理は赤鯛とマグロ。どちらも非常に油が強く、そのために醤油がわざわざ2つ分けて出される。特に鯛は、鯛らしい華やかな旨みとクリアさはありつつ、油もしっかり乗っていて美味い。赤ワインと油と山葵醬油も合う。富山の魚、釣りたてのようなフレッシュさ・プリプリした歯応えと、熟成した旨みや油が両立しており、謎。
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ちなみにワインと生魚を合わせると生臭さが目立つため、一般的にはあまり合わないが、鉄分や亜硫酸の含有量が低いワインを選べば生魚とも合わせることができる。生臭さはワインの鉄イオンと魚介の過酸化脂質が反応して生臭さ成分が発生することによるものだ。鉄分含有量は土壌の性質によるところが大きく、日本のワインはだいたい魚と合わせやすいことが多い。また油分が多いと脂が魚の表面をコーティングするせいで、酸化を防いでくれるそうな。
 
お次はホタルイカ。今年は去年の5倍くらい取れているらしい。4月時点で、すでに去年全体の漁獲高を超えたらしい。逆に去年は全然とれなかったらしく、一番高い時で一匹1400円とかだったそうな。値段差がすごい。そしてホタルイカがあんまり取れすぎると、他の魚がとれなくなってしまうらしい。
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炭火で焼いたホタルイカと鮎の稚魚?に合わせるお酒は、日本酒ではなくてあえてオレンジワイン。スロベニアのカバイという作り手。ほんのり渋みが残るような、甘やかさもあるようなワイン。日本酒は当然合うんだろうけど、それだと和のテイストが強くなってしまって、ともすれば居酒屋のようになってしまうと思う。個人的にこういう合わせは好み。
ホタルイカは針で穴を開けており、そのまま焼くと綿がでてきてちょうどよくブツブツ焼けてくれ、塩味も何もつけないで仕上がるそう。うん、フレッシュで自然な味で美味しい。
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お次はイタリアンワイン。ピノグリージョ。オレンジと白ワインの中間くらいの作り方。ほんのりと色がついており、ほんのり苦味。
ホタルイカの釜揚げと辛子酢味噌。富山で一番メジャーな食べ方だそうな。
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お次はまたドイツのピノノワールのロゼ。料理はまたもサクラマスだが、それに合わせたわけでもなく、海老亭別館では年中ロゼ多めで合わせているらしい。日本料理、特に醤油に合わせやすいそうな。伸びやかな酸とさくらんぼのような風味のあるワイン。
料理はサクラマスの塩焼きとふきのとうを揚げたもの。ふきのとうがとても美味しい。。いい感じの春の苦味と、油で揚げた香ばしさ、サクラマスのやや独特な旨みと、そしてロゼの酸味。良い。
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イタリアンワインの王様とも呼ばれるバローロ。イタリアの偉大なワイン。長期熟成に耐えうるワイン。いただいたのは2017で、まだまだ荒っぽさがあるが、大ぶりのグラスでもらうとほんのりタンニンを感じつつ枯葉っぽさを感じる。このタンニンと山っぽい感じが、ツキノワグマの熊肉の油と臭みと合う。ていうか、熊肉うっま。そして芹うっま。美味すぎない?日本って良い(N度目)。
そしてやはり、ここで日本酒ではなくワインを合わせる感じが好きだなあ。日本料理ではありつつ、適度に寄り添う華やかさのバランスが良い。
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ソムリエが「香りっていうのは100種類以上もあって〜」と真面目に説明してるときに、連れが「アンミカじゃん」ってボソッと呟いたので吹いた。
 
最後は自家製の手打ちそば、ごはんとおかず、そしてデザートで締め。最後まで美味しかった。
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秋に続けてきてしまったが、空間の良さ、料理の良さ、ペアリング、そしてご主人・女将・ソムリエの優しいサービスがとても心地よく、やはり好きなお店だなあと思った。
また違う季節に来たいな。次は夏か冬か。