主人公の大と出身高校が同じ、サックス奏者、大と同じく音がデカいことに定評がある、師匠が似てる、という仙台生まれ仙台育ちの俺が、第一部の舞台・仙台でのシーンを紹介する誰得コーナーです。
※画像は全て漫画版BLUE GIANT 1巻,2巻より引用
学校周辺
青葉第二(仙台第二)高等学校
青葉第二高校は実在しないが、定進堂や北京餃子に通ってるところを見ると、間違いなく自分の母校である仙台第二高校がモデルである。
宮城で一番の進学校なのだが、大も割と成績が良かったんだろうか?なんだかんだ英語もちゃんと喋ってるし。
定進堂
定進堂は高校から坂を降りてすぐ下にある、学生なら誰もが知っている有名店だ。自分も吹奏楽部の仲間と一緒によくパンを買いに行っていた。
「カレーの風味はするけどカレーは入ってないカレーパン」かあったり、ツッコミどころも多い店だったが、作中の描写の通り温かみのある店だ。
北京餃子
北京餃子は街の中心部の商業ビル地下にある中華屋。美味いというよりは、フードファイト的な異常な量が低価格で提供されることで有名。特に学生に人気で、二高でも東北大でもよく話題にあがっていた。ファンは多いが、個人的には味があまり好きじゃない。
広瀬川
第一部の大は、ひたすら広瀬川で練習している。広瀬川は仙台の中心部を流れる川だ。
大がいつも練習している場所は、大が仙台第二高校出身であること、またその周辺の描写から、高校から徒歩数分の淀橋近くの河原と思われる。
しばしば淀橋近辺ではない河原も登場する。以下の第一話のカラーページがそうだ。このような街並みが見える風景に心当たりはないが、強いていえば淀橋よりももう少し下流の方、愛宕橋のあたりだろうか。昼のシーンは淀橋、夜のシーンは愛宕橋近辺のように見えるので、昼は学校近くで夜は家の近くの河原で練習しているとかなのかも。
しかし別ページを見ると、ありえない風景のシーンもあり、実在しないイマジナリー広瀬川も混じっている気もする。
ちなみに仙台には、青年文化センター(通称「青文」)という無料で朝から夜まで練習できる広い室内スペースがあり、趣味で楽器を練習する人たちの憩いの場となっている。自分も部活動以外で練習したいときによく通っていて、そこで他校の上手い奏者と知り合いになって楽しかった。無料で年中使える練習スペースは他県になかなか類を見ない気がするので、楽都を標榜する仙台らしい施設だ。
寒い中、わざわざ広瀬川で練習している大を見ると、青文に行け!と突っ込みたくなるが、音楽関係の友達が少なくて教えてくれなかったんだろうなあと想像される。しかし周りはフルート奏者とかも練習してるので、大がいったらなかなか迷惑そうだ。自分も練習し始めるとフルート奏者達が奥の方に逃げていって申し訳なかった。
仙台七夕祭り前夜祭
仙台の夏祭りといえば、旧暦の七夕である8月7日に行われる七夕祭りだ。
お祭り自体は「アーケードの中が七夕飾りで彩られるだけ」という地味なお祭りなのだが、前夜祭として花火大会が開かれ、こちらは市内がかなり混み合う。第九話はこの花火大会の夜の話だ。
花火の打ち上げは仙台二高のすぐ近くで行われるので、例年高校の近くが大変混み合う。大がよく練習している淀橋の近くも、地元住民が花火鑑賞をする名スポットなので、この日の大は川沿いを歩いた先にある三居沢の方で練習していたようだ。夏祭りの日に三居沢付近で練習してるのは、地元民的な感覚でマジで異常である。
ちなみに、花火は高校の近くから打ち上げられるので、花火鑑賞をしたければ高校の校舎の屋上がベストスポットだ。当然一般の人は高校に入れず、学生も屋上には立入できないのだが、地学部が例年「天体観測」という名目の部活動をなぜか花火の日に屋上で行っているため、地学部の部長に頼んでその日だけ地学部に仮入部させてもらうことで、優雅に花火鑑賞をできるという裏技があった。
人混みを見下ろしつつ広々とした屋上から見るど迫力の花火はなかなか楽しい。今もこの裏技があるのかは知らない。
夏祭りの夜といえば、全国どこでも男女の甘酸っぱいあれこれがあるイベントだと思うが、仙台の夏祭りは七夕がテーマな分、よりそういう雰囲気が強いような気がしなくもない。自分も夏祭りの夜に当時仲が良かった女の子と歩いて帰った思い出があり、一連のシーンは懐かしい気分になった(何の話?)。
定禅寺ストリートジャズフェスティバル
こちらも秋の仙台の名物イベント。
ジャズフェスティバルと言いつつ、良くも悪くもジャズ以外のジャンルのバンドも出場可能で、その懐の深さが功を奏し、演奏者も聴衆も幅広く集うビッグイベントとなっている。出演者数でいえば日本一の音楽フェスなのだとか。
ちなみに、ジャズフェスなのにジャズ以外のジャンルが増えてしまったことを憂いた一部創設者たちの動きで、ジャズオンリーのイベントもまた別に6月ごろに開かれたりしている。
自分も大学時代は毎年参加していた。仙台のメインストリートで大学のビッグバンドで演奏したり、片隅の公園で仲間たちとスカパラのコピーバンドをやったり、プロバンドに入れてもらってメインステージのファイナルをやらせてもらったり、色々な経験をさせてもらった。2日間に渡り街全体が音楽につつまれる良いイベントだ。
ジャズフェスティバルといえば、第二部でもオランダのホルストでの小さなフェスティバルのシーンがある。街中の屋外でやるライブは、独特の雰囲気と熱気があり、音楽の楽しさを伝えてくれる。
せっかくなので発掘された大学メンバーとの自分の演奏も貼っておこう。1:30-からのソロを吹いてるアルトサックスが自分。これもメインステージでの演奏だ。
ジャズの師匠
色々と自分と共通点を感じる大だが、なんと仙台時代の師匠まで似ている。あの髭面と、細い目にムスっとした顔でひたすら基礎練させられる感じが似ている。自分が師事したのは一年弱だけだったが、お元気でいらっしゃるだろうか。
師匠の由井が学生時代通っていたのは、アメリカにある超名門バークリー音楽大学。ジャズで音大に行くならバークリーと誰もが第一想起するような大学だ。バークリーに通っていたことからも由井の演奏レベルの高さが窺い知れる。
しかしあえて言えば、バークリーはもちろんレベルが高いものの、入学・卒業するだけなら「上手いだけ」であり、作中の言葉で言うなら「一流」にはなれない。音楽の世界で大成するのは本当に難しい。
ちなみに映画版ブルージャイアントで雪祈のピアノ演奏役を務めつつ、作中全ての劇中曲の作曲を行っている上原ひろみは、バークリーを最優等で卒業し、また大学で最も名誉のある賞を授けられている。彼女こそが「一流」であり、「ブルージャイアント」であるピアニストと言えるだろう。
自分が一番好きなピアニストの一人でもあるので、まだ聴いたことがない人はぜひ演奏を聴いてほしい。
おわりに
映画版は仙台シーンが5分で終わってずっこけた。いや、適切な取捨選択なんだけど。
仙台、良いところなので行ってみてください!
Appendix: その他の細かすぎるシーン説明
楽器が吹きたくて夜の港まで自転車で行く大。大が住んでいるだろう仙台市中心部から最寄りの港まで10km以上であり、楽器を担いで自転車で行くにはそれなりの距離だ。よほど練習したかったのだろう。
リード代は学生には高く、気持ちはわかる。しかし自作するのはヤバい。
これは西公園の汽車。バードは定禅寺通り裏とかにあるのかな。
定進堂のパンを、近所の美術館前で食べる大。