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ザ・リッツ・カールトン日光 / 日光

ハードは最高、ソフトは…な感じの宿泊体験

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ザ・リッツ・カールトン日光 / 日光

2020年に日光からいろは坂を越えた奥日光にオープンした「ザ・リッツ・カールトン日光」。国内のリッツカールトンとしては5つ目。中禅寺湖の湖畔に佇むラグジュアリーな空間は、自然と調和しながらリゾート感に溢れている。

事前の評判では「チェックインに1時間待たされる」などといった不穏な情報を聞いており、超高級ホテルでまさかそんなはずは…と思いつつ訪問すると、​本当にきっちり1時間待たされる。​「大変混み合っており、申し訳ありませんが1時間ほどお時間いただきます」…のような声がけがあればギリギリ分かるが、​そういうのもなく普通にロビーに放置されて待たされるのみ。​我々は予期してた事態だったので半ばギャグとして笑って受け流せたが、広いロビーに大量にいた同類の客達は失笑したり寝転んだりキレたりと死屍累々。

暇すぎたのでChatGPTくんに口コミを調査させると、オープン当初から同様な状況が続いている雰囲気であり、偶然でもなく日常茶飯事な様子。チェックインの時刻をズラすか、この程度は笑って流せるだけの度量が必要なのかもしれない。

さて気を取り直して部屋へ。和風の部屋は流石にいい雰囲気で、ウェルカム苺もかわいく美味しく和む。

バーカウンターも充実していて楽しいのだが、メニューの金額をみてそっ閉じ。アンリオのNVが小売価格の4倍ほど(1.9万円)な価格感。まあこんなものなんだろう。

部屋でまったりしていると早速フロントからお電話。明日の朝食についてのヒアリングが始まり時間が取られる。​いや予約時に既に回答済みだし、そもそも先ほどの暇すぎるチェックインの時にまとめて聞けば良かったのでは…??​と疑問がいっぱいで。リッツ日光はサービス面はこの手の細かい微妙な体験が多かった(ここに全部書いていくのも面倒なので書かない)。

リッツカールトンと言えばクレド(行動指針)を従業員に浸透させた成功例としてビジネス書で有名だが、日光は適用されてないのだろうかと皮肉ざるを得ない。いやまあ、一人一人の資質の問題というよりは、システムの問題なのだろうか。

さてさて、もう一度気を取り戻して目の前の中禅寺湖や華厳滝を散策。チェックインで手間取りすぎたのでもう日が暮れてしまったが、自然に触れて気持ちを取り戻します。

寒い外から戻ってきたらまずは温泉。リッツカールトンでは唯一温泉がある日光リッツ。浴場内は天井が高く、石造りっぽい内装であり、暗く厳かな神殿の中に湯が湧いているような雰囲気。浴場の雰囲気としては過去最高に好きかも。チェックインでの微妙な体験が洗い流されていく。

部屋に戻ってゆったりしてると再度電話。内容は「夕飯の時間をもっと早められるがどうしたいか」​いやそれもチェックイン時に言ってくれ​と思いつつ、空腹を感じ始めていたのでありがたくそれに乗ってレストランへ。なんか電話が多いホテルだなあ​。​

ディナーは和食か洋食で選ぶ形。今回は洋食レストラン「レークハウス」をチョイス。本館から渡り廊下を歩いた先、湖畔に佇むボートハウスを彷彿とさせる建物へ移動。ここの廊下はちょっとワクワクする。

飲み物はワインペアリングメニューがあったのでそちらをチョイス。

アミューズは頂鱒の生春巻きと大根が辛く効いたスープ。うーん、若干ピンとこない味。日本のロゼスパークリングは美味しいのですが、リッツカールトンのレストランで飲む一杯目としては格が足りないような。

2品目は栃木の様々な野菜を様々な調理法で、湯葉と胡桃のソースで仕上げたもの。これは美味しい。こういう様々な特徴を持った野菜の味が、全体で一皿の味を作り上げる方向性は自分の好み。HAJIMEやNIKI Hills Wineryを思い出す。ペアリングのサヴァニャン白も良い。

で、お味は良いが、ポーションが大きく、1つ1つの野菜のサイズも大きめで、2品目から結構なボリューム。がっつりお野菜をひたすら食べる体感。

3品目、人見蓮根と菊芋を揚げたもの。こちらもホクホク感と香ばしさがとても良い。庶民的な味になりそうなところを、トリュフとゴーダチーズと謎の枝のおかげで高級料理のトンマナを維持している。ペアリングはジョージアのオレンジワイン。クヴェヴリっていう壺で作っていて〜という知識を連れに披露してドヤ。

4品目、カリフラワーとパルミジャーノチーズのスパゲッティ。こちらのカリフラワーもとても美味しいのだが、スパゲッティの量が多めかつ、パスタ自体は家庭で作れそうな味つけ。

この辺で違和感が形になってきたのだが、一般的な高級店のコースよりも一皿ごとのボリュームが多く、やや高級感のないコース運びだな…?それが悪いとは言わないが、最高級ホテルのレストランとしての格には見合っていないような。グローバル水準だとそんなものなのだろうか。

ペアリングは普通にブルゴーニュの白。普通に美味しい。

5品目、鯛のソテーに赤キャベツ。メニュー名がサスティナブルフィッシュと書いてあったのでその真意を聞いてみると、特定魚種の乱獲を防ぐために提携先の漁師に魚種を指定せず、その日とれた魚を使ったメニューだとのこと。「本日の魚料理」をオシャレさマシマシな言い換える発想に脱帽。魚のお味は普通、キャベツの主張が結構強めかなあ。ワインはフリウリの赤でキャベツに合わせた感じ。

6品目、牛肉と大根餅と蕎麦の実。ソースがやや特徴的でややトゲトゲした味をしておりやや口に合わなかったのと、肉と大根餅と蕎麦の実とそれぞれ美味しいものの一皿に盛り込む必要性も感じず。連れからは「なんでこれ一緒に合わせたんだろう?」との厳し目なコメント。カリフォルニアのジンファンデルも、肉だからとりあえずジンファンデル程度の合わせのように感じてしまいソムリエの哲学を感じない。というかソムリエを見かけなかったのだが、店内にいたんだろうか?

ラストは苺のソルベ。コーヒーと一緒にいただきたくしばらく食べるのを待っていたが、ほぼ溶けてからコーヒーが出てきた。うーむ。

全体的に、栃木の野菜の美味しさは感じつつも、最高級ホテルに見合った繊細さ複雑さ気品のようなものを感じられず、ワインのチョイスは堅実ながら普通な印象で、しかし見た目と雰囲気は最上級であり…と、色々なチグハグさを感じる試合運びだった。

自分の中でのリッツのレストランへの期待値が高すぎたのかも。地元の食材を使った気軽で美味しくオシャレなグローバルダイニング、程度の認識でいくと普通に楽しめそうかな。それにしては非常に高価なわけだが、それを軽々と支払える層が訪問するのだろう。


ディナーの後はバーエリアへ。雰囲気はよく、カクテルも美味しく良かったのだが、バーテンダーが何度も物を落としていたり、後ろの女子会が多少五月蠅かったり。最後までイマイチ閉まらないなあなんて感想。


翌朝の朝食。レストランか部屋かで選べる形式。せっかくなのでお部屋でいただく。

朝食の見栄えは最高。中身もこれでもかと豪華な仕上がりであり、流石に人生で一番豪華な朝食だった。朝から牛肉やら鯛刺身やらうなぎ卵焼きなどなんでもいたれり尽せり。方向性としては豪華で金がかかった美味しさであり、まあこれだけ金をかけた朝食ならそりゃ美味しいよなと思わなくないが、最高級ホテルの朝食としては正しい方向性か。

うーん。風光明媚な立地やラグジュアリーな施設は最高レベルなのだが、初手のサービスが著しく悪く、その後もいまいちに思ってしまう小さな出来事が重なり、結局イマイチな宿泊体験となってしまった。細かいサービス品質なんて気にせず楽しめる性格なつもりだが、流石に初手で信頼が地に落ちすぎた。第一印象は大事だなあ、と感じさせられた宿泊だったな。

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Katsuma Narisawa

Software engineer and photographer exploring the intersection of technology and human experience.

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