THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
信州の風土を丁寧に立体的に仕上げた、完成度の高い大人のためのオーベルジュ

フレンチレストラン運営を中核に、ホテル事業も展開するレストラン発の企業グループのHIRAMATSU。そんなHIRAMATSUのホテルは「食」を滞在の中心に据えた、オーベルジュ型のリゾートホテル。
各所で噂を聞いており、いつか行っておきたいなあと思っていたところ、今年のクリスマスを軽井沢で過ごすことになったので、それにかこつけてHIRAMATSU軽井沢にGo。
軽井沢駅よりしなの鉄道で3駅の御代田町駅に移動、さらに送迎の車で10分ほどかけて移動。小高い丘を車が登っていくと、丘の上に鎮座するヴィラとホテルに到着。
敷地面積は6万平米以上。この敷地にわずか37室のみという贅沢な空間の使い方。
広々としたロビーラウンジでチェックイン手続き。クリスマスだからか、ポインセチアのツリーが飾られていた。綺麗。


今回は本館のジュニアスイートに滞在。100平米の広々とした部屋で、無駄に長い廊下にテンションが上がる。廊下の広さだけでもう新卒の頃の我が家の2倍くらいある。洗面所やトイレも常に過剰に広い。



露天風呂に軽く入って疲れを流した後に、5階のカフェラウンジへ。サロンテイスティングイベントが開催されているそうで、無料で日本ワインをいくつかいただく。


館内の至る所にアートが飾られており、それを見て楽しむのもHIRAMATSUの楽しみ方。



「焚き火でマシュマロを焼くのが今回で一番の楽しみ」と公言する連れに急かされ、本館の隣のTAKIBIラウンジへ。焚き火を見ながら、無料でマシュマロや軽食をいただく。大変魅力的ななわけだが、この後すぐ食事なのでペース配分は悩ましいところ。焚き火を見てると落ち着くね。

そそくさと本館に戻ってきて、1階のメインダイニングへ。いよいよ本滞在のメインイベント。
ダイニングの扉が開くと、広々とした圧巻の空間がお披露目。一気にテンションが上がる。いやあ、こういうグランメゾンの空間はやっぱり良い。



今回は信州ワインウィークということで、信州ワインのペアリングをオーダー。
乾杯のスパークリングはOBUSE WINERYのTIRAGE RATE。伝統的製法による泡のきめ細やかさと、日本ワインらしい柔らかさと優しさ、透明感がある。Tirage Ratéは「仕込み失敗」の意味で、ガス圧が弱めの仕上がりであることを示すユニークな商品名。色もクリスマスらしく美しいピンクで綺麗。


アミューズ。リンゴの甘味とクリームの旨味と塩気、パイ生地のサクサク感。リンゴで長野のご当地感、分かりやすい美味しさがありつつ、適度に複雑。一品目として最高の立ち上がり。

2杯目はCave Hatanoのトップキュベのシャルドネ、GRAND CHARDONNAY 2023。お〜、これは美味しい。樽熟成のクリーミーなバター感と蜜、しかしクドすぎない透明感、官能的に広がる酸味とミネラル感。
料理はオマール海老のビスクソースと甘エビ、かぼちゃ。ビスクと甘エビの旨みと甘味が凄く、そこにかぼちゃの柔らかさも入って立体的な味。序盤からギアを上げていく構成、好きである。


3品目、猪肉と菊芋、りんご。ほぼ脂身のように見える猪肉の薄切りは、口に入れると案外に爽やか。りんごのソースの酸味もちょうど良い。ほんのりと滋味深さ。
3杯目はヴィラデスト ワイナリー(VILLA D’EST) の Pinot Noir Rosé 2023で、適度な酸とほんのりとしたタンニンが心地良いペアリング。猪肉、こういう食べ方だとロゼに合うんだな。



4品目、蕪とアオリイカと柿。イカも美味しいのだが、下に隠れた3種類の厚切りのカブが主役。どれも少しずつ味が異なっており美味しい。そして千切りの柿の控えめな甘みが更なる立体感を与えている。こういう細かな拘りが良いね。
4杯目はNAKADA WINESのPinot Gris Block 2 2023。ピノグリのオイリーさ、ほんのりとした苦味が蕪とイカに合う。



5品目、じゃがいもの芋餅と湯葉、柚子。芋餅の香ばしさとじゃがいもの素朴な旨みが良い。
お酒はここだけ日本酒で、明鏡止水の初搾りをいただく。コースの全てをワインにせず、日本酒で重心を下げるポイントを作る設計は好きだなあ。気分転換になった感。


6品目、鱸(スズキ)のポワレ、キャベツとポロネギ。鱸の火入れが絶妙でしっとりと美味しいのは勿論、キャベツも非常に美味。連れも「キャベツが一番美味しかった」と絶賛。
6杯目はHASE de KODAWAARの「CASTLE Viognier 2024」。ふくよかな果実味、ほんのりオイリーさと、ホップ/ナッツのような複雑さ。ヴィオニエは単体で飲んでもピンとこないが、食事には合う系だよね。


7品目は料理のラスト、信州プレミアム牛。バリグールソース(アーティチョークを白ワインやその他香味野菜で煮た南仏プロヴァンス由来のソース)は、牛の素材の輪郭だけを立てる軽やかなソース。そして牛がほぼナイフ不要な程度に柔らかい。人生一にしっとりした牛肉かもしれない。凄い。
ラストのワインはシャトー・メルシャンのトップキュベ、桔梗ヶ原メルロー 2019。果実の凝縮感と樽由来のスパイス感が素晴らしい。メルシャンの椀子ワイナリーのメルローを前に飲んだのだが、どちらも素晴らしいね。



デザートも最後まで美味しくいただく。シルバニアファミリーのような焼き菓子の演出に連れも満足。ごちそうさまでした。



全体を通して、信州の風土と文化を感じる食材と料理を、分かりやすい美味しさに仕上げつつ、細かな仕上げによる複雑性と立体感がある、前評判通り完成度の高いグランメゾンだった印象。信州ワインのペアリングのクオリティも高かった。しかし、若干パンチが足りず、記憶に残りづらかったかもしれない。まあ、二人でアルコールペアリング付きで7万円ほどのコースとしてはこんなものかもしれない。
クリスマスの夜にふさわしい、年末を締めくくる素敵なレストランでした。ご馳走様でした。
さてこの後の予定とは軽井沢高原教会のクリスマスイベント。よく電車の広告でみるアレ。追加募集枠の争奪戦に勝利したので行くことに。
ひらまつからはタクシーで20分ほど。帰りのタクシー手配も全てひらまつがよしなにやってくれて便利。
行きのタクシーは半分寝てたのだが、ふと目を覚まして窓の外をみると、暗闇の中に無数のランタンの光が浮かぶ幻想的な光景。個人的にはウユニ塩湖で星空を見た時の感覚を思い出すくらいに美しかった。
ゴスペルのパフォーマンスなども凝っており、大人気なのも納得なイベントだった。これはまたそのうち来たいな。



翌朝は5階のイタリアンの会場で朝食。パンとオムレツがメイン。勿論美味しいのだけど、期待していたよりはシンプルな朝食だったかな。自分が和朝食の方が満足度が高いだけかもしれないが。


部屋付きの綺麗で広々とした露天風呂にいつでも好きなタイミングで入れるのが最高。滞在中何度も隙を見て入ってしまった。


あれやこれやとしているとあっという間にチェックアウトの時刻。うーむ、もっとゆっくりしていたかったな。しかし、そう思う程度の滞在がちょうど良いのかもしれない。
宿代は夕朝食つきで18万円ほど。軽井沢価格で高めになっているはずと考えると、他のシリーズは更に期待かも。来年は色々巡ってみたいな。良いオーベルジュでした。

Katsuma Narisawa
Software engineer and photographer exploring the intersection of technology and human experience.
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