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オーストラリア・アデレードでワイナリー巡り(2026年3月)

百聞は一見に如かず。多様でいて、しかし全て飲みやすいのがオーストラリアワイン

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オーストラリア・アデレードでワイナリー巡り(2026年3月)

ワインに詳しくなる前は知らなかったわけだが、オーストラリアといえば実はワインの銘醸地。広大な土地の中は意外に様々な風土があり、多種多様なワイン産地がある。

直近のWSET Level3試験のためにこの産地の名前を一通り覚える必要があるのだが、暗記が苦手すぎて全く覚えられる気がしなかったので、​とりあえず行けば覚えるだろうという脳筋方式​でオーストラリア行きを決意。

今回はオーストラリアの中でも一番のワイン産地、アデレード周辺のワイナリーを巡ってきたので、ここで紹介する。​

ワイナリーの巡り方

アデレード発でワイナリーを巡る1日ツアーが大量にあるので、行きたいワイナリーに拘りがなければ、こういったツアーに行くのが最も良い。今回はツアーで行かされるワイナリーがどんなレベルかよく分からず、せっかく行くなら思い入れがあるワイナリーに行きたかったのでツアーは敬遠。

こうなるとレンタカーするか、運転手付きで車を借りるかの二択。レンタカーは1日$110〜(1万円強〜)、運転手をつけるのは1日$450〜$850程度(5万円〜9万円)であり、かなり高額になるので、何人かでレンタカーを借りて、運転手は試飲を諦めてスピットで我慢するのが良いだろう。ほとんどのワイナリーにおいて、スピトゥーン(ワインを吐く容器)を用意してくれている。

「スピットだと満足できない!」なんて思うかもしれないが、​大量のワイナリーを巡って大量に試飲してるとめちゃくちゃ酔っ払う​ので、スピットするのは意外とありかも。​

電動付き自転車でワイナリー間を巡るのも可能。今回はバロッサバレーに宿泊し、宿のe-bikeを借りて周辺を爆走した。目当てのワイナリー間はだいたい20分〜40分ほどであり決して近くはないものの、周囲に広がるワイン畑と丘を見ながら、真っ直ぐに伸びる道路を走るのは気持ちが良いのでオススメ。夏の時期の北海道を走っているような感じ。

バロッサバレーでの滞在中は、朝日とともに起床し散歩して、日中は自転車で気持ちよい風を浴びて、ワイナリーやレストランを巡って食べ飲み学び、夕方はホテルで夕陽を見ながら夕食を食べ、プールに入って、夜は星空を見る…というのを連日続けて、​幸福の過剰摂取で日本に帰りたくなくなった​。はあ、バロッサに戻りたい。

自然を眺めながらひたすらに飲む自然を眺めながらひたすらに飲む

こんな感じの丘を眺めながらサイクリングこんな感じの丘を眺めながらサイクリング

自転車を走らせていたら駆け寄ってきた馬自転車を走らせていたら駆け寄ってきた馬

地平線に沈む夕日をホテルより地平線に沈む夕日をホテルより

星空。オリオン座と八つ裂き星雲星空。オリオン座と八つ裂き星雲

静かな日の出と羊たち静かな日の出と羊たち

今回のワイナリー巡りのスケジュールはこんな感じ

  • (0日目:昼にアデレードに到着。ビーチや市内を観光。市内泊)

  • 1日目:昼にバロッサバレーの宿に移動。昼食、Rockford訪問、ホテルで夕食

  • 2日目:自転車でAlkina、Hentry Farm、Seppeltsfield訪問、ホテルで夕食

  • 3日目:朝から車でアデレードヒルズのワイナリー訪問(Shaw+Smith、Koernerなど)、市内に戻る

アデレードについて

アデレード周辺は完全に地中海性気候であり、毎日天気がよく、空気が乾燥していて、3月だと適度な暑さ(最高気温が26度)であり、非常に過ごしやすい。対してメルボルンは海洋性気候であり、滞在中は雨の日もあり、3月末のメルボルンはもはや結構寒く、やや微妙な体験だった。

おそらく​シドニーが東京、メルボルンが大阪や京都、アデレードが福岡や金沢(ただし地中海性気候)​みたいな街であり、都市を楽しみにいくならシドニーやメルボルンが、食や酒や海を楽しみにいくならアデレードに滞在するのが良いだろう。あと本当はパースにも行きたかったが遠いので断念。

ここでは紹介しないが、アデレード市内の飲食店も非常にレベル高くて良かった。オススメ。​

訪問したワイナリー

主に大橋MWにオススメしてもらったワイナリーや既知のワイナリーを巡った。

Rockford Wines / Barossa Valley

バロッサバレーに到着してから、まず真っ先にRockfordへ。バロッサの中でも伝統派の代表格。

これぞオーストラリア・バロッサバレーの王道シラーズといった趣のパワフルさとバランスに、ちょっと意外な飲みやすさ。事前の先入観だと、バロッサのシラーズといえば、乾燥で高温な地域で作られた黒系果実マシマシユーカリ臭でやや飲みづらい方向性だと思い込んでいたのだが。レベルが高いワイナリーは全てバランスが良く万人が美味しいと感じる方向性。

テイスティングは予約なしで入れる。そして無料(!)。風情がある小屋のような場所でテイスティングができて良かったが、他のワイナリーの豪華なテイスティングルームと比べてしまうと少し素朴。

到着日時が読めなかったので今回は予約できなかったが、予約しておいたらワイナリー見学もできたのかも。何にしろ、事前に一報をいれておくのがオススメ。

Alkina / Barossa Valley

Rockfordとは対照的に、モダンでナチュラル、エレガントな方向性をいくAlkina。Alkinaの名前は原住民の言葉で「月」だそうで、ビオディナミ製法(=月や天体の運行をベースにワインを作るという若干スピってる製法)で作っているそう。ややスピってるワイナリーはやはり美味い。

Rockfordの後に訪れたので、対比が面白かった。良い意味で、ブラインドテイスティングしたらこれがオーストラリアワインだとは思わないだろう。オーストラリアの多様性を感じられる。

ワイナリーの敷地は広く、整備されていて綺麗。試飲の建物も広く可愛らしく、チーズやハムなどおつまみも提供してくれる。1瓶買うとテイスティング無料みたいなシステムだったのでまんまと購入。予約なしで訪問。

Hentry Farm / Barossa Valley

こちらの素敵なブログ記事で紹介されていたので訪問。古い石造りのCellar Doorがとても可愛らしくて雰囲気良し。

ワインの方向性はRockfordとAlkinaの中間、伝統派をベースにモダンにしたような作り。こちらもレベルが高かった。「ザ・ビューティー」「ザ・ビースト」というシグニチャーっぽいワインをいただいたが、ビューティーが思ったよりパワフルで名前との関係がよくわからなかった感。

とにかく雰囲気が最高なので、ぜひ訪れて欲しい。予約なしで訪問。テイスティングは軽食付き。レストランもある模様。

Seppeltsfield / Barossa Valley

こちらは有名かつ大規模なワイナリー。一般のワイナリーツアーでも定番訪問地っぽい雰囲気。

今回は訪問しようとしたらちょうどクローズの時間で試飲できず。敷地は広くて綺麗。​

バロッサに2泊した割に、のんびりと自転車を漕いで、各地のワイナリーでのんびりテイスティングした結果、バロッサでは4箇所しか回れず。贅沢な時間の使い方だったなあ。

Shaw + Smith / Adelaide Hills

バロッサに2泊した後、宿から車を出してAdelaide Hills周辺を巡る1日に。

まずはオーストラリアで一番好きなワイナリーのShaw + Smithへ。マスターオブワイン(世界に約400人しかいない、ワイン資格の頂点)が2人関わっており、とにかくレベルが高い。しかし価格はそこまで高くないという優しさ。ワイン会やホームパーティに持っていくと、ワインに詳しい人にも詳しくない人にもモテること間違いなしのワイナリー(実話)。​

試飲と見学がWebサイトから予約できる。今回はBalhannah Tourという見学コースを予約。$140とややお高めだが、丁寧で優しい解説つきで見学させてもらい、6杯を試飲して美味しい軽食もついており、自分は大変満足。敷地や建物も現代的で洗練されており、全てにおいてレベルの高さを感じる。

実は訪問日を間違って1日早く予約してしまい、直前に気づいたため前日分を無断ドタキャンする形になってしまったのだが、スタッフは「24 hours late!!」と笑いながら出迎えてくれて無料で案内してくれた。オーストラリア人、優しすぎる。

他のワイナリーと比較した際に、レベルの高さはやはり群を抜いているのでやはりオススメなワイナリー。あえて言うと、良くも悪くもseriousな味とも言えるのかも。上手い例えが難しいが、完璧超人の欠点は完璧すぎること、みたいな?伝わらなそうだなこれ。解散。

Bird in Hand / Adelaide Hills

松木ソムリエよりオススメされたBird in Hand。手と鳥のロゴがかわいい。名前も可愛い。

カリフォルニアワインのBread & Butterといえば、ワインに詳しくない人にもよく知られている、その名の通りパンとバターの香りと風味がするキャッチーなワインだが、個人的にこの上位互換がBird in Handのシャルドネ。バターっぽさがありつつも、くどすぎず、冷涼な酸味とのバランスが上品。「Bread & Butterはちょっとありきたりだよね〜」なんて感度の高い方々が集うホームパーティーに持って行くと良いでしょう。

他ワイナリーと比較すると、もちろんレベルは高いものの、一般消費者向けのキャッチーさを意識しているような味とブランディング。アデレード初日に訪れたビーチにて、チャラついた海の家でもBird in Handのスパークリングが売られていた。

施設は美しく、レストランや宿泊施設もあり、軽く覗いたところアートに力をいれているようでもあり、泊まってみても非常に楽しそう。今回は飛び入りでテイスティング。酒を買うとテイスティング無料だったのでこちらでも購入。予約不要。簡単な軽食つき。​

Koerner Wine / Adelaide Hills

こちらも大橋MWの推薦。麻布台インタートワインでも取り扱っているワインであり、何度か飲んだことがあった。

公式ウェブサイトから問い合わせるとテイスティングが予約できる。小規模家族経営で、収穫時期の忙しそうな時に、めちゃくちゃ優しく案内してくれて本当に感謝です。Koernerで有名なリースリングは少し離れたClare Valleyだが、今回のテイスティングはアデレードヒルズの施設にて実施。醸造所の一角の試飲スペースでたくさん飲ませてもらう。

おそらく今回訪れたワイナリーで一番小規模なはず?最もナチュラルでクリーン、飾らない美味しさ、食事に合う方向性だった。特に和食との相性が良さそう。ガメイやサンジョベーゼなど、さまざまな品種にトライしていて面白かった。醸す前の葡萄ジュースを飲ませてもらったり、ペットの犬と戯れたりと良い意味で緩い雰囲気で良い。

「日本でたくさん宣伝するぜ!」と伝えてしまったので、みなさん買ってください。

Murdoch Hill Wines / Adelaide Hills

ワイナリー巡りの間に時間が余ったので訪問(失礼)。適当に検索して突撃した割に、こちらも非常にレベルが高く、オーストラリアすげえ…という感じだった。こちらもモダンでクリーン、先鋭的な印象。Alkinaに近いかな?

駐車場に車を止めると犬が車に近寄ってきて、Cellar Doorまでの道を案内してくれたのが印象的。お利口すぎ可愛すぎ。​

オーストラリアワインの総括

様々なワイナリーを巡ってみて今回感じたのは、オーストラリアワインの多様性。そして更に踏み込むと、​単に多様性があり個性があるだけでなく、どれも飲みやすく、レベルが高いということ​

これはワインのみならず、食文化にも、街にも、国民性にも感じるものであり、移民国家オーストラリアの本質的な特徴なんだろうなあと感じさせられる。​多様な文化があることが国家設計の前提にあり、誰もが受け入れられること、そして誰もが受け入れられるものを作る精神が全てに根付いている​​diversity that everyone can enjoy​とでも言うか。​

訪問前からだいぶ印象が変わったので、ぜひ訪れてみてください。百聞は一見に如かず。​

番外編・ホテルとかレストランとか

The Louise / Barossa Valley

バロッサのど真ん中に佇むラグジュアリーロッジ。ここを起点に移動するとどのワイナリーにも行きやすく、非常に便利。

レストランも非常に美味しく、滞在中は毎日違うディナーが振る舞われる。美しい夕日を眺めながら美味しい料理とワインをいただく豪華体験。プールもジムもあるし、e-bikeもあるし、スタッフは優しいしで至れり尽くせり。​

朝日とともに起床し散歩して、日中は自転車で気持ちよい風を浴びて、ワイナリーやレストランを巡って食べ飲み学び、夕方はホテルで夕陽を見ながら夕食を食べ、プールに入って、夜は星空を見る…というのを連日続けて幸せだった。

人生に残るような宿泊体験であり、非常に良かったのだが、難点としては​価格が非常に高いこと。​宿泊費も諸々も高い。確認が漏れてたこちらの落ち度とは言え、​1時間の送迎に3万とられて泣いた​。覚悟をして臨みましょう。

直前予約で無駄に広い部屋になったり、色々とミスったので、本来はもうちょっと安いはず。お金があると、滞在プランも色々提案してくれて便利そうなので、富豪の方は是非。

Fermentation Asia / Barossa Valley

こちらの素敵なブログ記事で絶賛されていたので訪問。ベトナム料理とワインのペアリングのレストラン。

個人的にベトナム料理とワインといえば、青山のAn Diなわけだが、An Diがフレンチレストランのような料理スタイル・雰囲気なのに対して、こちらは良い意味でより素朴であり、地元食材を使った、オーストラリアで進化した食べやすいベトナミーズの世界観。そして、ワインも本当にワインが好きな人が選んでいるんだろうなあと感じさせられるセレクト。

時間と胃のスペースが足りず、少量しか食べれなかったが本当に美味しかった。いつの日か再訪したい。

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Katsuma Narisawa

Software engineer and photographer exploring the intersection of technology and human experience.

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