フランス・アルザスでワイナリー巡り
2026年5月 ドイツ〜アルザス〜ブルゴーニュ旅行記 #5

アルザス1日目
Domaine Zind Humbrecht(ツィント・フンブレヒト) / テュルクアイム村

バーデンバーデンから鉄道でコルマールまで移動。コルマールからUberを使って、まずは大橋MWオススメで「アロマティック白ワインの王」と呼ばれるZind Humbrecht(以降、ZH)に向かう。
予約フォームより14:30の見学予約枠に申し込んだが返事がなく、とりあえず突撃したら「申し込み?届いてないよ」と言われてしまい謎。幸い、同じ枠に他の参加者がいてくれたので、そこに混ざる形でなんとか参加。
地下のケーブにある素敵なテイスティング部屋に案内され試飲会。前日までドイツのワイナリーを色々巡って「ドイツワインも美味しいな〜」なんて気持ちになっていたのだが、一杯飲んでみて「いやアルザスワイン美味しすぎんか???」と衝撃。
いや、ドイツワインも高品質だったし、あくまでスタイルの方向性や好みの違いでしかなく、ドイツワインがダメだとかいうつもりはないのだが、少なくともこの時はこう思ってしまった。ごめんなさいドイツの皆様。

ドイツワインは透明感、実直なスタイルなのに比べて、アルザスは華やかさと複雑さがある方向性。濃厚で繊細。この特徴をベースとして品種ごとにまた個性があり、リースリングは透明感とライムとミネラル、ゲヴェルツトラミネールはライチやバラ、ピノグリは複雑さ・洋梨・スモーク、ミュスカはオレンジの花…といった印象。それぞれ個性がありつつ、全部レベルが高くて非常に美味しい。
もともとアルザスワインにはあまり馴染みがなく、これらのアルザス主要品種にもあんまり経験がなかったのだが、ZHで一通りを飲ませてもらって好きになった。現地で飲むとすぐ好きになってしまう俺、いちいちチョロくて可愛い。

Zind-Humbrechtの特徴はというと、当主がフランス人初のMaster of Wineであり、めちゃくちゃレベルの高いビオディナミ製法をやっているワイナリー。アルザスといえば世界に類を見ない複雑な土壌があるエリアで、特に「畑違い」を飲み比べるのがこのドメーヌの真骨頂——という前知識だけはバッチリ仕込んできた。
……のだが。「色々違くて面白いね」以上のコメントがなく。いや面白いしいいんだけど。もうちょっと気の利いたコメントがしたいなあ。
「色々勉強したのに、あんまり気の利いたこと言えないわ〜」
そうこぼすと、同じくテイスティングに来ていたヨーロッパ人紳士より
「楽しんで飲むのが一番さ!」
とイケメンな発言をいただく。いやまあ、それはそうなんだが。う〜む。
…とドイツと同様に悩み込みそうになりつつも、今回は運転手じゃなかったので普通にアルコールを摂取した結果、酔っ払って楽しくなりどうでもよくなりました。お酒は楽しく飲むのに限るね。
そしてテンションが上がった結果、3本購入して合計3.3万円。なかなかの爆買い。スーツケースがそろそろ限界です。

Famille Hugel(ファミーユ・ヒューゲル) / リクヴィール村

ZHの後、Uberでカイゼルベルクのホテルに移動して荷物を下ろし、さらにUberで丘を越えた隣町のリクヴィールへ。天気が良ければ自転車でサイクリングする予定だったのだが、あいにくの雨。泣く泣くUber移動。今回の旅は費用よりスケジュールを優先したためUber代が嵩む。
リクヴィールは他のアルザスの村と同様、端から端まで10分も歩けば終わる小さな村だが、飛び込みで入れるワイナリーがいくつかある。今回は中でも評判の良さそうだったHugelへ。Hugelの創業は1639年、ここリクヴィールで13代続く100%家族経営の老舗である。歴史の桁が違う。
村の中心にある店舗は、広いテイスティングルームを備え、日本語のパンフレットまで完備。他のワイナリーよりだいぶ商業的な雰囲気だ。テイスティングでは、前のめりなスタッフが我々を出迎えてくれた。
「今日はどんなテーマでワインを飲みたい!?」
「ええと……逆に、どんなテーマがいいと思う?(??)」
と、なかなか無茶振りをしてしまったが、しっかり考えながら説明してくれて好印象だった。味については正直なところZHよりはちょっとレベルが下がったかなあ。優しくしてくれたのにごめんねHugel。やはり大橋MWの推薦ワイナリーはレベルが高い。

この旅の他のワイナリーでもそうだったのだが、6種類も飲んでたっぷり説明をもらったのに、なぜかテイスティング代が無料っぽい空気が漂ってくる。いや流石にそれは…と慌ててボトルの購入を検討。とはいえスーツケースはすでにお土産のボトルで満員御礼であり、これ以上の大量購入は物理的に厳しい。ということで、少し高めのものを1本だけ吟味することに。
ヒューゲルはアルザスにおけるVT(ヴァンダンジュ・タルディヴ)やSGN(セレクション・ド・グラン・ノーブル)といった遅摘み甘口ワインのパイオニアで、なんとこれらを管理する法律の草案まで手掛けた家らしい。確かにこちらが美味しかったので、ピノグリのSGNを購入。なんと1999年もので1.6万円というお手頃価格。いや高いが。



Domaine Dopff Au Moulin / リクヴィール村
だいたいのワイナリーが17時ごろにクローズしてしまう中、19時までやっていたこちらに突撃。場所は村の入り口あたり。この旅で一番で大規模で商業的であり、ワインショップもひたすらにデカかった。
既に酔っ払っており正直もうよくわからんという気持ちになりつつ、クレマンや珍しそうなワインを色々物色。こちらも色々テイスティングしたのに無料で終わりそうになったので、慌てて適当に購入。Alsace Grand Cru Sporen Gewurztraminer 2019で4400円ほど。


La Table du Gourmet / リクヴィール村
次の日からフレンチのフルコースが3日3晩続くので、それに備えて今晩は節制しようとしていたところ、ドイツでロクなものを食べていないので早くフレンチで癒されたいという気持ちが上回り、なんと今晩も高級フレンチに突撃することに。ドイツとフランスでの食の寒暖差がすごい。

雰囲気はとても良く、料理もワインもとても良い。いやドイツのディナーはなんだったんだと100万回思った。
とても良かったが、店のおすすめの野菜オンリーのコースにしたところ、これといった記憶に残らなかったのも正直なところ。野菜のみでインパクトを出すのは難しい。そもそも酔っ払いすぎ、疲れすぎていて、洗練された雰囲気だけでもう既に満足していたみたいなところはあったが。
細かく振り返る気力がないので、写真を乗せて供養。




帰りはレストランのスタッフの女性の彼氏の車でホテルまで送ってくれるという謎の待遇。イタリア人彼氏に「フランスとイタリア、どっちが飯うまい?」とか色々質問して楽しい帰路だった。
アルザス2日目
Rolly Gassmann / ロルシュヴィール村
この日も朝から微妙な天気だったので、Uberで30分ほどかけてワイナリーまで移動。
こちらのRolly Gassmannも大橋MWのオススメのワイナリー。小高い丘の上に立つパノラミック・テイスティングセラーは非常に広く美しく、中は地質博物館のような趣になっている。



テイスティングは無料で20種類ほどをぶっ続けてひたすら振る舞っていただくというぶっ壊れっぷり。どれも非常にレベルが高く美味しく、前日のZHと比較すると、よりふくよかで、残糖がある、素朴で親しみやすい、料理に合わせやすいスタイル。説明の中でも「我々がやりたいのは、多くの人に美味しいワインを届けること(なので商業的になりすぎたくない。意訳)」のようなことを語っていたり、良い意味で商業的な雰囲気を感じず、しかしワインの品質は恐ろしく高い、親しみのあるドメーヌという印象だった。
流石にこんなに良いワインを飲ませてもらってボトルを買わないわけにはイカン。ということで結局3本購入。うち一本はゲヴェルツトラミネールのSGN 1994年で1.6万円、合計2.5万円。金が飛んでいく。



前日のZHも然り、アルザスで最高品質のワインのテイスティングをすることで、急激に「アルザス完全に理解した」状態になった気がする。なんというか、その土地のワインを理解するには、その土地で飲むのが一番というか。そして、最高品質のワインを飲むのが一番というか。安ければ安いほど、土地のテロワールを反映しないありきたり味になってしまうので、いくら飲んでも理解できないんだよなあ。良いワインをたくさん飲んでいきましょう皆様。

Taverne Alsacienne / インガースハイム村
Rolly Gassmannにて、スタッフのお姉様との会話
「ゲヴェルツトラミネールとフォアグラのペアリングは最高よ!」
「いや〜フォアグラ食べたいな〜〜」
「じゃあ、私のオススメをランチで予約するわ!(電話開始)」
という優しすぎる爆速対応にて、なんとランチでフォアグラを食べにいくことに。ありがとうお姉様。

場所はRolly Gassmannがあるロルシュヴィールから、コルマール側にあるインガースハイムのTaverne Alsacienne。ビブグルマンをとったこともあるこちらの店は、上品な雰囲気はありつつも親しみのある雰囲気で、スタッフも客も笑顔で活気に溢れている。入った途端に良店だと確信。
ランチコースにはフォアグラが入っておらず、朝食も食べていない我々はランチコースにフォアグラを追加するという食いしん坊スタイルで望むことに。
「フォアグラのサイズはどうする?Big?Small?」
「…………Bigで!!」
いや今晩もフレンチのフルコースなんだが大丈夫そ?とは思いつつ、欲望には勝てませんでした。
さて、冷製フォアグラとゲヴェルツトラミネールが登場。いやデカすぎんだろ…。こんなサイズのフォアグラ、見たことない。
そしてお味はというと、ウオオオオ、美味しい、、、、、!!!!これはこの旅トップの衝撃。意識が飛びそう。最高のマリアージュ…!!!
冷製フォアグラのまったりした質感、脂の甘さがゲヴェルツトラミネールのテクスチャーと甘さに最高にマッチ。ゲヴェルツのライチやバラのアロマもフォアグラに合う。やっぱり土着の伝統的なペアリングは凄い。
フォアグラといえばソーテルヌの貴腐ワインのペアリングも有名だが、それと比べてアルザスワインでのペアリングは比較的爽やかで透明感がある。


その後のメニューも大変美味しかったが、そこまで記憶に残らず、っていうかフォアグラが多すぎて胃もたれ。
フォアグラの過剰摂取には気をつけようとサンセバスチャンで学んだはずだったのだが、何も成長していない。


コルマール散策
いったん、いきたかったワイナリー2つには訪問し、これ以上天気が悪い中で色々移動するのがダルいなあということで、適当にコルマールを散歩することに。
ドイツに引き続き、古い建物は可愛らしくてよい。


エーグイスハイム散策
ディナーまで意外と時間が余ったので、Uberで近隣の村にGo。「フランスの最も美しい村」にも認定されたエーグイスハイムへ。
村の中心から同心円上に広がる道が特徴的。相変わらず天気が悪いが、一瞬の晴れ間が美しい。


JY’S / コルマール
夕食はコルマールの2つ星レストランにて。詳しくはこちら。
https://katsumanarisawa.me/essays/202605-jys
これにてアルザス訪問は終了。明日からはブルゴーニュです。

Katsuma Narisawa
Software engineer and photographer exploring the intersection of technology and human experience.
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